いじめを生む教室 子供を守るために知っておきたいデータと知識を読んだ感想

みなさんこんばんは。

 

今回はいじめを生む教室 子供を守るために知っておきたいデータと知識を読んだ感想です。

2018年出版

 

子供の時いじめを受けた経験から、どのようにいじめを解決できるか、その知識を得るために読むこととしました。また、職場でも似た様な体験をしたため、今後生きて行く参考にするためにも読むことにしました。

 

以下、書籍より引用した文章については下記のボックスで囲みます。

 

 

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著者は?

著者は荻上チキ氏(1981年生まれ)です。NPO法人ストップいじめ!ナビ代表知事です。

 

印象に残った内容は?

いじめに関する詳細なデータがまとめられている書籍です。実際のいじめと、テレビなどで議論されている内容に差異があるということから、著者が実際のいじめのデータをまとめています。実際のいじめと想像していたいじめの内容との違いを知ることができます。

具体的な内容としては、実際のいじめのデータ(学力との相関なども含む)や大津市の調査の紹介、子供達のストレスが溜まりにくいご機嫌な教室、いじめの構造、ネットいじめと実際のいじめの相違、教師の課題など多岐に渡ります。

 

連帯責任の弊害

連帯責任というのは、軍隊の論理と同じで、「一人がミスを犯したら全員の責任だ」とすることによって、相互監視を促す管理の仕方です。

しかし、相互監視を促すことは、特定の人物を「足を引っぱる存在」として可視化させることどもあり、その人に対するいただちを覚えさせます。重ねて、「連帯責任」というような理不尽な行為を行う教師というのは、他のところでも理不尽な行為を行っていると考えられますので、その教師自身がストレッサーになっているということも大いにありうるでしょう。

連帯責任という形で罰を受ける児童のクラスは、より多くのいじめが発生していると「いじめ問題と教師:いじめ問題に関する調査研究(Ⅱ)」の中で記載されているそうです。

引用文にも書いてありますが、特定の人物を足を引っ張る存在と可視化してしまうため、その人間を攻撃する口実を作ってしまいます。

私も小学校5年生の時に、かなりやばいI上先生という方が担任でした。この方は、ドアが3cmぐらい空いているとドアを閉められないのは人間ではないと突然怒鳴ります。その後犯人探しを始め、5時間ほど何もせずずっと犯人が名乗り出るまで待つような連帯責任のようなシステムを採用していました。クラスの雰囲気は悪く、また連日のように授業がストップするので、子供たちだけではなく親のストレスもかなりのものでした。

そのせいか、自分を含め、何人かが憂さ晴らしでいじめれる状態になっていました。上記引用した連帯責任の弊害かと思いました。

 

ご機嫌な教室のメリット

河村茂雄『データが語る①学校の課題』(図書文化社、2007)では、ルールが適切に共有されつつ、「認められている」「居心地が良い」と感じられる教室では、いじめや不登校が減少すること、逆に、管理ばかりを強めた教室(管理型)も、あるいは自由度だけは高いがルールが定着していない教室(なれあい型)も、バランスが悪く、いずれもいじめが増加することが指摘されています。

ご機嫌な教室のメリットです。子供の意思を尊重しつつ、納得できる教室運営、理不尽なことをしないというのは、子供達のストレスを減らす要因になります。その結果、クラスの雰囲気がよく、ストレスも感じにくいため、いじめがなくなるのです。一方で、先ほども言いましたが、I上先生のように理不尽に1日5時間も説教しているクラスでは、ストレスが溜まりやすくいじめのリスクも高まります。ちなみにI上先生は、誰も名乗り出ない場合は、「理科室からアルミニウムを持ってきて、指紋を取って、1人ずつ指紋を確認して犯人を炙り出す」と、のたまっていました。

 

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いじめられるのが悪いのか

いじめについて語る際、よく聞かれるのが、「加害者だけが悪いのか、被害者にも原因があるのではないか」という言葉です。しかし、被害者に何かしらの要因があるということと、それを「いじめ」という行為で発散することの是非(本文中では是否と記載されているが誤記載と考えられるため訂正)というのは、分けて考えなければなりません。この区別がしっかりできていないために、加害行為を肯定しかねないような言い方、被害を矮小化しかねないような言い方で、「被害者も悪かった」と言われることがあるのです。

本書では、被害者に要因があっても、いじめという行為で発散する行為は間違っているとの主張です。これには納得でした。

小学校3年生の時、学校に行けなくなりました。そのとき当時教頭先生だったO教頭は、「いじめられるやつが悪いに決まっているだろう」といい、親が学校の駐車場まで連れて行ったはいいものの、ごねている自分の腕を教頭が掴み、そう吐き捨て教室に連れて行ったのを覚えています。

今でも夢に見ますが、それは間違いだと主張している書籍があり、少しだけ安心しました。

 

感想

いじめについてのデータを載せ、想像しているいじめとの乖離を紹介している書籍です。

例えば、最近では、昔と比べITが発達しているからネットいじめが悪化しているとの思い込みがあります。一方で、実際にいじめを受けている人間が、ネットいじめの対象になりやすいとのアンケート結果があります。つまり、実際のいじめの延長がネットいじめなのです。

面白いのが、いじめを受けて相談する人は多くいませんが、子供たちの7割が相談後、いじめは解決に近づいたと主張しています。

このようなデータが多数載っているので、実際のいじめの実情を知ることができ面白く感じました。

 

本書の中で、シェルターやスイッチャーについて書かれています。

シェルターというのは、いじめられている子にとって逃げる場所である友人です。スイッチャーは、コミュニケーションの流れをスイッチする人です。子供達だけでいじめを解決するのは難しいとは思います。ですが、そういった役割を持った友人がいれば、いじめられている人を助けることができる1つの手段になりうると思います。特にスイッチャーは会社でもかなり重要だと思います。雰囲気が悪くなりそうな時に話を転換したりと、何とか子供たちの世界でも学べるようにならないでしょうか。

 

面白く感じた主張が、小学校から担任の先生が1人になることについてです。

保育園では、複数の保育士が子供達の面倒を見ているのに対し、小学校に上がると1人の先生が集団をまとめる指導に変わります。そこで筆者は、先生は2人でクラス運営をし、サバティカル制度(研究休暇制度)が導入されると嬉しいと主張します。確かに保育園からいきなり1人の先生で担当するのは負担が大きく、また教育力をつけるための研究休暇もあっても損はないと思いました。もちろん2人対応にすれば、教員の数は単純に2倍必要ですし、さらに研究休暇も加わるとさらに人手が必要にはなります。

しかし、こういった面での新しい制度の提案は面白く感じました。

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