世界史を作ったライバルたち上を読んだ感想

みなさんこんばんは。

 

今回は世界史を作ったライバルたち上を読んだ感想です。

(2019年出版)

 

今までの歴史で何人もの偉人が出現してきました。ローマの英雄スキピオ、イスラムの英雄サラディン、イングランドの女傑エリザベス女王。彼らに共通しているのは、ライバルがいたことです。そのライバルを踏まえた歴史の流れを学べるため、本書を読むことにしました。

 

以下、書籍より引用した文章については下記のボックスで囲みます。

 

 

著者は?

著者はアレクシス・ブレゼ氏、ヴァンサン・トレモレ・ド・ヴィレール編集です。

翻訳は、神田順子氏、村上尚子氏、田辺希久子氏、大久保美春氏です。

 

印象に残った内容は?

ある時代の偉人達の対立を紹介しつつ、その背景の歴史を含めて紹介しています。

以下上巻で扱っているライバル達です。

  • アレクサンドロス大王とダレイオス
  • スキピオとハンニバル
  • オクタウァヌス対アントニウスとクレオパトラ
  • グレゴリウス七世とハインリヒ4世
  • ボードゥアン四世とサラディン
  • フィリップ二世とジョン欠地王
  • カール五世とフランソワ一世
  • ヘンリー八世とトマス・モア
  • スペインのフェリペ二世とイングランドのエリザベス一世

 

カルタゴの技術

くわえて、カルタゴはライバルであるローマよりも都市整備がはるかに進んでいた。当時の旅行者たちは、カルタゴの港、市場、四〜七階建ての建物(一部の建物には水道がそなわっており、排水は維持管理がいきとどいた下水道に流されていた)。通りは狭くて臭く、下水道(クロアカ)は一つしかないローマは、この点ではカルタゴと張りあうどころではなかった…

マリーアントワネットがいた時代のフランスは街並みが荒れ、糞便が道に溢れていたことは有名です。しかし、古代ローマの時代の下水道事情については知りませんでした。ローマはそれほど発達していなかったようで、カルタゴの下水道の方が優れていようです。ローマが後年、カルタゴを壊滅させたのもわかる気がします。

ちなみに引用した文章が少しおかしいですが、書籍に記載された通りに引用しています。「当時の旅行者たちは〜〜〜七階建ての建物。」で終わっている文章はおかしく感じますね。

 

ザマの戦いで象はいなかった?

とっておきの武力は象であった。有名で、やがて伝説となるカルタゴの戦象である。80頭の「ザマの戦象」については、諸説紛々である。きまじめな著者とみなされるポリュビオスは、これらの戦象は第一線に配置された、と述べている。しかし今日の歴史研究者は、大きな矛盾を指摘して、この話を疑問視している。

どうやらハンニバルは戦象をカルタゴ本土では使っていなかったようです。ザマでは、戦象がハンニバルの味方を襲い恐慌状態になったとポリュビオスは述べていますが、戦象が興奮すると騎乗者が金槌を頭に打ち込み殺していたため、それは考えられないと予想されています。ポリュビオスは半世紀後に書籍を書いたため、スキピオ家の栄光を高めようとしたのではないかと考えられているようです。

ただし、スキピオは戦象に対抗するため兵士の間隔を空けていたと言われていますが、これは正しかったようです。戦象を避けるためと私は思っていましたが、スキピオはカルタゴ軍を包囲するため左右に広がれるようにしていたようです。当時は一列目と二列目が前後に入れ替わることがありましたが、スキピオは包囲するため、一列目と二列目が左右に広がる戦術を考案したようです。

ヤングジャンプのアド・アストラという歴史漫画が好きでしたが、この内容を知るとザマの戦いの描写は少し変わりそうです。

 

色々と勉強になる内容でした。

 

ハンニバルの墓は存在する

歴史家ウァレリウス・マキシムスによると、彼は自分の墓石に「恩知らずの祖国よ、おまえが私の骨をもつことはない!」と彫らせた。ザマの勝者の墓は跡形もないが、彼の有名なライバルの墓は、イスタンブール(トルコ)の中心から一時間もしないところにいまでも残っているというのは、歴史の皮肉であろうか。

2000年前の墓が残っているのは驚きでした。

将来世界旅行をしたいと思っていますが、ぜひハンニバルの墓を見たいと思います。

 

検索してみましたが、あまり情報はありませんでした。以下のサイトに少し載っていました。イスタンブールに行く時にまた調べたいと思います。

 

感想

世紀のライバル同士の戦いを通して歴史を紹介した良書です。

印象に残った内容として、スキピオとハンニバルを中心に書きました。しかし、他の偉人達の対決も非常に面白く感じました。

 

特に、フィリップ二世とジョン欠地王の戦い、カール五世とフランソワ一世の戦いが面白かったです。

ジョン欠地王ですが、フランス国王に負けたことで最終的に息子のヘンリー三世がイングランドの独立を勝ち取りました。

 

カール五世とフランソワ一世は、それぞれが神聖ローマ帝国の皇帝をめぐり争いました。どちらも罵倒しあったり、領土を得るためならなんでもするという覚悟も、今から歴史を振り返ると面白く思えました。

 

歴史を扱った書籍が多く発行されていますが、わかりやすく面白く読めました。古代ローマは、以前読んだ塩野七生さんの書籍で少し詳しくなりましたが、中世ヨーロッパは多くの利権が複雑に絡み合っているため詳しく知りません。

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本書籍では中世ヨーロッパについても多くのページを割かれていたので、少しは理解が進んだと思います。

歴史が好きな人には面白く読める書物だと思います。