日本の15歳はなぜ学力が高いのか? 5つの教育大国に学ぶ成功の秘密を読んだ感想

みなさんこんばんは。

 

今回は日本の15歳はなぜ学力が高いのか? 5つの教育大国に学ぶ成功の秘密を読んだ感想です。

 

日本の学力が高い理由を他の国と比べて知りたかったことと、教育大国フィンランドと日本が記載されていることに興味を持ったからです。

 

以下、書籍より引用した文章については下記のボックスで囲みます。

 

 

著者は?

著者はルーシー・クレハン氏です。

イギリスの教育研究者で、ケンブリッジ大学で教育学の修士号を取った後、2年間に渡り世界を旅して、各国の教育を調査しました。

訳は、橋川史氏です。

解説をオックスフォード大学教授の苅谷剛彦氏がされています。

 

印象に残った内容は?

各国を旅した著者が、その国に4週間ほど教育のボランティアをしながら滞在し、各国の教育体制についてまとめた書籍になります。対象としては、PISA(Programme for International Student Assesment)と呼ばれる国際テストの評価が高かった、フィンランド、日本、シンガポール、中国(上海)、カナダ(カナダ自体はあまりPISAは高くないが、似たような移民の国のアメリカ、イギリスよりは高い)についての旅紀行になります。

 

班単位で行動

前章で見てきたように、小学校では勉強ではほとんどを<班>単位で行う。したがって学習成果は班の努力として評価され、ここの生徒のあいだの初期の能力の違いは問題にされない。褒められるときも、個人ではなく班が褒められる。

日本の話です。

最近は、日本は班単位で全て行動しているのでしょうか???

私自身そのような思いはないのですが、筆者は日本の教育は班単位で個人を褒めないとしています。

実際に訪問していた場所が広島なので、それは関西だから班単位なのか、それとも時代が変わったから班単位になったのかよくわかりません。あくまで一つの学校の例なので、あまりこれが全てという思いで見ると、実際の教育と差異が生じるかもしれません。

 

親への教養

学校は、子どもの宿題の採点のような、親に引き受けてほしいことをリストにして、家庭に送る。親たちは、子どもを何時に寝かせるのがいいとか、休みに友だちと何時間くらい遊ばせるのがいいとかということまで指示される。

これも日本の話です。

自分の子供時代を思い出しても、指示は出ていなかったように感じています。あくまで、提案風だったと思うですがどうでしょうか。これは時代が変わり、今は学校から指示がくる時代なのでしょうか?

子供がいないので実際のところわかりませんが、日本に関しては調査があまり信用できないように感じました。

 

ゆとり教育は悪かったのか

国際テストにおける日本の成績はゆとり教育の導入前から下降気味だった。それに、2003年の結果は、ほかとくらべてみても、そう大きな下落ではなかった。とはいえ、より根本的な問題は、そもそもこの改革が何をしようとしたものなのかが忘れられてしまった、ということだ。ゆとり教育は、PISAの得点を上げるためのものではなかった。子どもたちにかかるプレッシャーを軽減し、彼らの創造性や問題解決能力を伸ばすためのものだった。2000年と2012年に子どもたちを対象に行った調査によると、学校に対する満足度はこの期間に、世界のどの国より増加している。

ここの筆者の主張は、なるほどと思えました。

日本の大部分の人はゆとり教育を失敗だと言っています。私も今までそう思っていました。

しかし、実際PISAは下がっても、それは別の要因があるかもしれません。また筆者が主張するように、ゆとり教育の目的は、創造性や問題解決能力の向上だとしたら、PISAで測れない項目であったかもしれません。

今思うと、ゆとり教育は、優秀な人材をさらに優秀にする授業のように思えます。総合という時間で班を組み、好きなことに研究します。興味があることを決定できたリーダーは興味を持って研究を進めますが、興味がないことを設定された班員は、進んで研究はしないでしょう(女の子のリーダーがおしゃれとブランドについて研究したいと決定すれば、男の子は興味がないでしょう)。

それに応じて、やる気のない人間にとって、総合の時間は、友達とのおしゃべりやサボりの時間ともなります。

もちろん、個人で研究すれば良いと思いますが、そこまで子供を見る時間が教師にはないため、班行動をせざるを得ない状況だったかと思います。

 

そう考えると、ある意味、ゆとり教育は成功した面もあったかと思います。

 

シンガーポールのエリート主義

シンガポールの大手の新聞社シンガポール・プレス・ホールディングが2000年に、10~12歳(PSLEが近づく年齢)の1742人の子どもたちについて調査したところ、三分の一以上の子どもが試験を親の死より恐れていることがわかった。三人に一人が、ときどき、もう生きていたくないと思うと答えた。

シンガポールでは、小学校卒業試験(PSLE)で全ての人生が決まります。

このテストで、5つのグレードに分けられ、将来の仕事も全て決まってしまいます。

日本よりも、遥かにリカバリーが効かないシステムに驚きました。もちろん低いグレードでも、良い成績を取れば上のグレードに進めるようですが、滅多に無くニュースにもなるようです。

 

感想

旅紀行になっているので、物語もあり面白くは思いました。教育について比較できるもの面白いとは思います。

 

ただ、基本的に訪問して宿泊は、イギリスかアメリカ人系の家に宿泊しているようです。そのため、日本のここが悪いや、中国はここが悪いと言った会話からスタートします。

そのため、フィンランドやカナダのヨーロッパ系の雰囲気は良いよねという意見にも感じました(自国と同じ雰囲気だから当然)。

 

また、日本の項目で、私が育ってきた日本とイメージの乖離があり、あまり信用できないなとも思いました。

 

ただ、教育面の比較は面白かったです。

それぞれの国がなぜPISAが高いか、私なりにこう感じました。

 

フィンランド

  • テストが18歳までないので、のびのびと興味があることを学べる。
  • 教師が教育委員会などに監視されないので、のびのびと教師が子供を指導できる。
  • 子どもを能力でクラス分けしない。
  • 勉強が遅れている子へのサポートが充実(専門家がいる)。

 

日本

  • 規律や道徳を教えており、西洋よりも努力に重きを置いている。
  • 教師にランクをつけ、学校を移動させることで、平均的に学校レベルが揃うようにしている。
  • クラスの人数が多い事でまとめて学生を指導でき、他の時間を授業計画に当てられる(30人を3回指導するのと、10人を9回指導するのでは、10人の方が授業に時間がかかる)。

 

シンガポール

  • 12歳で将来を決定する事で、それぞれのグレードに合った最適な授業ができる。
  • 将来が決まるので、親のやる気も高い。
  • 教師へのサポートが充実している。

 

中国

  • 宿題が3時間など非常に多い。
  • 努力が評価される文化。
  • 金とコネが重要で、親がお金持ちだとより、良い教育を受けられる。
  • 教師が質問を多く投げかけるシステムで授業が進むので、解決力が高まる。
  • 李白の思想などにより、反復学習が重視されている。

 

カナダ

  • リーダーシップの授業など、科目が充実。
  • 勉強がついていけない子へのサポートが充実(専門家)。
  • 教育委員会や教師の関係が親密。

 

 

以上が私が感じたメリットです。

共通する指導法では、成績の良い子や悪い子に合わせず、まとめて同じ授業を受けさせるというのも共通しているように感じました。

イギリスではクラスを分ける事で、テストを受ける際は、グレードの低い子(学力が低い子たちにとって平均的なテストは難しい)たちが損をするようです。

 

 

一つ解せないのが、本のタイトルです。

原題は、教育大国に学ぶ成功の秘密のようなものになると思うので、日本の15歳はなぜ学力が高いのか?というタイトルは相違があるように感じました。

 

教育に興味がある人間は読んで損はない本だと思います。